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防爆機器のケーブル交換|外径が同じでも代替できない理由

防爆機器のケーブル交換は、外径や芯数の一致だけでは判断できない。グランド・シールリング・機器の組合せ、検定条件、メーカー照会で確認する点と、次回の補修に残す記録を公的資料と技術資料で整理する。

2026年11月1日7分で読める
防爆機器のケーブル交換|外径が同じでも代替できない理由

「同じ芯数、同じ断面積のケーブルがある。外径もほぼ同じなので交換できる」。防爆機器の補修で、この情報だけを根拠に発注を進めると、肝心の引込部の確認が抜ける。電気的に接続できることと、防爆構造を維持できることは別の確認である。

ケーブルグランドは、ケーブルを容器へ引き込む部分の部品である。交換の判断では、ケーブル単体の仕様だけでなく、機器・グランド・シールリングの組合せと指定条件を照合する。本稿は、主に工場の爆発性ガス雰囲気で使う防爆電気機器の交換検討を扱う。具体的な施工方法や使用可否は、対象機器の合格条件・取扱説明書と、設備の責任者による確認が前提となる。

まず「何を交換するか」を分ける

安衛研の国際整合技術指針2020第1編は、ケーブルグランドを、該当する防爆構造を維持しながらケーブルを引き込むデバイスと定義している。さらに、取扱説明書に従って取り付けたとき、機器の防爆性能を損なわないことを要求している。単なる配線の固定金具として扱うことはできない。[1]

交換検討の入口では、次の三つを区別すると確認先が明確になる。

交換したいもの

先に確認する内容

ケーブルだけ

指定ケーブルの範囲、外径、シースなどの条件と既設リングとの組合せ

シールリングだけ

グランドの指定部品・識別表示・適用径との一致

グランドを含む一式

機器の検定で確認された構成、引込口、使用条件、変更の扱い

これは交換を許可する判定表ではなく、照会に必要な情報を整理する表である。「消耗部品だから同等品でよい」とまとめず、どの構成を変える計画なのかを明示する。

外径の一致は、確認の一項目である

例えば、既設ケーブルと候補品の公称外径が一致していても、それだけでは判断は終わらない。シースの材質や構造が異なる候補を、外径だけで同じものとして扱わない。現品の外径確認に加え、製造者の指定範囲と、候補品の仕様書を突き合わせる必要がある。

岩崎電気の技術資料では、ケーブルの引込方式は端子箱等の防爆構造とケーブルの種類に応じて選定する構成になっている。耐圧パッキン式と耐圧固着式などを、名前の近い交換部品として一括りにできない。また同資料は、内部に空隙の多いケーブルについて、耐圧固着式に適さない場合があると説明している。外側から見える寸法だけでは、内部構造の条件まで確認できないのである。[2]

実務では、交換候補の仕様書にある「外径」と、現場に残るリングの表示だけを見比べて終えやすい。ところが、資料に記載された組合せが、いま取り付けられている機器の組合せと同じかは別問題である。古い改造履歴がある設備では、購入時資料と現品が一致しているかも確認対象になる。

グランドの認証と、機器の検定を混同しない

「このグランドにも認証書がある」という説明も、機器への使用可否を一つで決める根拠にはならない。

厚生労働省の2021年8月12日付け通知は、Exケーブルグランド等について、単体では法に基づく型式検定の対象にならず、防爆機器に組み込んで試験等を行う扱いを示している。構成部品の認証情報があることと、交換後の機器全体の合格条件を満たすことは分けて確認する必要がある。[3]

TIISのFAQも、検定合格後に部品や構造を変更する場合、変更内容によっては更新検定時の同一型式追加等の検討が必要になることを説明している。すべての補修が新規検定になるとも、同等品なら手続き不要とも読めない。設備使用者の判断だけで組合せを変更する前に、機器メーカーへ、対象型式と変更内容を示して扱いを確認する。[4]

照会には「代替グランドの選定依頼」という一文より、既設機器の型式・検定合格番号、既設グランドとリングの識別、候補品の図面・仕様書をそろえた方が、何が一致し何が変わるかを伝えられる。

メーカーへの質問は、差分を示して具体化する

以下は照会文の架空例である。「端子箱の機器型式と検定合格番号は資料のとおり。既設ケーブルはA、交換候補はBで、芯数と導体断面積は同じだが、シース材質が異なる。グランドとリングは継続使用を計画している。この候補が当該機器の指定範囲に含まれるか。追加で必要な資料、交換部品、変更の手続きはあるか」と整理する。

この聞き方なら、寸法の確認と、合格条件に関する確認を分けられる。回答が「その径なら入る」であった場合も、それが機械的な寸法の話なのか、防爆上の指定条件を含む回答なのかを確認できる。部品販売の見積回答を、そのまま機器全体の適合確認と読み替えない。

回答を受けた後も、照会時の条件と発注内容が一致しているかを見る。発注直前に別銘柄へ変更したなら、以前の回答がそのまま使えるとは限らない。確認対象の型式・図面・版を残す意味は、ここにある。口頭回答だけで処理した場合も、誰が、どの条件について回答したかを記録し、未回答の論点を分けておく。

交換前に止めて確認する三つの場面

リングの識別が読めない。 見た目や、手元のケーブルが通るかどうかで部品を決めない。旧部品の写真、機器の資料、メーカーの部品情報へ戻って特定する。特定できない状態は「たぶん適合」で埋めず、未確認として残す。

説明書が別の型式のものしかない。 同じメーカーの似た機器であっても、締付け条件を転用しない。安衛研の指針は、グランドの説明書にケーブルの寸法範囲や圧縮部の締付け手順、容器との接続条件などを記載するよう求めている。現物に対応する説明書の入手が先である。[1]

在庫品に替えるため、グランドも変更する。 これはケーブルだけの交換とは変更範囲が違う。引込口との接続を含め、どこまで確認が必要かをメーカーと整理する。「ねじが入る」「防水できる」という確認で、防爆構造の確認を代用しない。

「交換済み」より、次回の判断根拠を残す

交換記録を「ケーブル交換、復旧良好」の一行で終えると、次の担当者は同じ照会を繰り返す。設備台帳と補修履歴には、少なくとも次のつながりが必要になる。

  • 設備番号、機器型式、検定合格番号と、参照した説明書の版
  • 交換前後のケーブル型式・仕様、グランド・リングの識別
  • 変更箇所と、メーカーへ確認した質問・回答・回答日
  • 実施記録、確認者、写真、未解決事項と復旧判断の根拠

この記録項目は文献を踏まえた編集部の整理例であり、法定様式や適合証明ではない。大切なのは、部品名を並べるだけでなく、「この組合せを使うと決めた根拠」を設備番号に結びつけることである。写真だけでは仕様や承認経緯が追えず、仕様書だけでは現物との一致が確認しにくい。両方を同じ補修記録からたどれる形にする。

防爆の全体像は防爆規制の基礎知識で扱っている。本稿の交換判断は、その先にある個別機器の確認である。部品の在庫があるかを調べる前に、既設の組合せと変更範囲を特定する。これが、後戻りの少ない補修準備の出発点となる。

参考文献

[1] 労働安全衛生総合研究所『工場電気設備防爆指針―国際整合技術指針2020 第1編 総則』JNIOSH-TR-46-1:2020。箇条3.10、16.3、附属書A.4・A.5。 本文PDF

[2] 岩崎電気「防爆照明―防爆電気工事」。1.2、表12.19・備考。2012年版ガイドを基にした選定説明であり、個別機器の現在の仕様は別途確認する。 技術資料

[3] 厚生労働省、基発0812第5号、2021年8月12日。別添1、3(3)「Exコンポーネント等の取扱い」。 通知本文

[4] 産業安全技術協会「検定に関するよくあるご質問」。検定合格後の部品・構造変更に関する項目。 FAQ

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